
彼らの出会いは1982年、東京・赤坂のドイツ文化センターでの『第16回パンムジーク・フェスティヴァル』でした。
1曲目の約24分におよぶ佐藤允彦とのコラボレーションは、今聴いてみても新鮮な驚きに満ちています。(ブレヒトの詞に、即興並びに誰だかドイツ人の曲を歌っています) ピアノの弦をつま弾いたりこすったり、マレットで叩いたりする佐藤の内部奏法に対して、即座に反応するローレンの唱法はこれまでのジャズの発声とは異なるもので、軽やかなスキャット風から猛獣のような唸り声に、そして艶めかしい嬌声から突然、透きとおった高音へスムーズに移行します。
一方、86年のスタジオ200での演奏は、テーマを設定して心地よくスタートし、そこからだんだんと枠を外して自由な即興へと展開、再びテーマに戻るといった構成で、4年前とは異なるインタープレーの楽しさを満喫させてくれます。
ヴォイスによる即興は今、エフェクターなど電子機器により多彩な表現手段を得て、まるでモノクロームからデジタル3Dの世界へと飛躍を見せる。
ジャケット表紙は足立涼子さんの、人工的に砂に電気を当てて起きるイナズマの形です。その形は毎回変化します。
■曲目リスト:Track List
01:Tierverse with interludes by
a. interlude on The Eagle
b. interlude on The Horse
c. interlude on The Crow
d. interlude on The Woodlouse
e. interlude on The Hedgehog
02:Dedicated to Whom?
03:Train of Thought
04:Trans Pacific Action
05: Song for M.R. (L.Newton)
06:Skip the Blues
■演奏:Musicians
佐藤允彦 Masahiko Sato:Piano
ローレン・ニュートン Lauren Newton:Vocal,Voice,Effect